雨水排水路(Storm Drain System)

healthebay

2009年01月13日 07:47

ロサンジェルスの排水システムは2種類あります。 

一つはSewage Drain System。 これは、みなさんよくご存知と思いますが、バスルームやキッチンなど家や建物の中からでる「生活排水」システム。 この水は処理されてから海に排出されます。

もう一つはStorm Drain System。 これは、雨水とスプリンクラーやプールなど家や建物の外で使われている水用の「雨水排水」システム。生活排水と違って、こっちの水はほとんど処理されないまま海に排出されます。

という感じで、ロサンジェルスでは生活排水用下水と雨水排水用下水は別々です。なので別々にお勉強しましょう。

ここは、雨水排水用下水=Storm Drainsについてのお勉強コーナー♪にします。

ロサンジェルスの町のほとんどが、駐車場や道路やビルなどでカチカチの堅い表面に覆われています。雨がこれらのカチカチなとこに落ちると水は地下に染み込まず浸透していきません。地下に浸透していかない水をRUNOFF(表面流下)といいます。「水の循環」で学びましたね。 Runoffの水はあっという間にたまってしまって、町は洪水の危機にさらされてしまいます。洪水を防ぎ、町を守るために、STORM DRAINSという迷路のような排水路が地下に作られました。この排水路は遠くはBurbankやVan NuysやPasadena60マイル内陸から海までつながっていて、LA郡では全部あわせると5,000マイルもの地下排水路が迷路のごとく巡らされてます。LA市だけで1,500マイルもの長さのStorm Drain排水路が地下に巡り巡っています。このStorm Drainsの排水路を通って、水は道路から海に移動します。 

歩いているときや信号待ちの時に、歩道のヘリに穴が開いているのを見たことあると思います。これです。 その穴をCATCH BASINSと言って、そこがStorm Drain排水路の入り口なんです。LA郡に約250,000個あります。Storm Drainsの問題は、水だけじゃなく、水の通路にあるタバコの吸殻や、缶、モーターオイル、動物の糞なども全部Catch Basinsから排水路に入ってしまうという事です。 水もゴミも全部いっしょに海に流れ出されるか、OUTFALL(放流口)と呼ばれる土管からビーチに吐き出されてしまいます(Outfallを映像でどうぞ→ http://www.youtube.com/watch?v=pqut50O8vcM)。

雨だけがゴミを海へ押し出しているわけではありません。雨の降っていない日(Dry Weather)に、道で車を洗ったりとか、芝生に水を上げすぎたりとか、歩道に水撒きしたりする行為全てがDRY WEATHER RUNOFFを引き起こすことになります。

「なんで海に出る前にフィルターつけないの?」と思う人が沢山いると思います。フィルターをつけてしまうと、あまりのゴミでフィルターが詰まってしまって、結局洪水を起こしてしまうということで、フィルターはなしです。 実は海に出る直前に2フィート(60センチくらい)くらいの深さの網が浮きにぶら下がっています。が、たかが2フィートなので、雨水が勢いよく流れてきたら、そんな網なんてゴミは通り越してしまいます。 それと、下水から小川などに出て行くとににもありますが、網の目は20センチx20センチとかで、缶やボトルはぜんぜん引っ掛かりません。



東京やサンフランシスコなどでは、雨水やUrban Runoff/Dry Weather Runoffなども下水処理場に行きます。 いいアイデアなんですけど、雨がザーザーに降ったときは、その下水処理場もお手上げという事で、生活排水も雨水も全部処理せず海や川に放出してしまいます。 

ロサンジェルス市でも、乾季の間は何本かのStorm Drainの水がハイぺリオン下水処理場で処理されるそうですが、雨季の間は何の処理もされず海に吐き出されます。

そこで、サンタモニカでは、2000年にUrban Runoff/Dry Weather Runoffを処理する画期的な都市排水リサイクリング施設Santa Monica Urban Runoff Recycling Facility(SMURRF)ができました。 アメリカでは唯一サンタモニカにしかなく、LA市とサンタモニカ市のコラボで$150Millionかけてこの最高技術を使った施設が誕生。年間$12Millionの経費を使い、毎日最高50万ガロンのDry Weather Urban Runoff Waterを処理しています。処理されキレイになった水は、公園のスプリンクラーやトイレを流す水として再利用されてます。 でも、ここで処理されているのは、サンタモニカにあるKenter/PicoとサンタモニカPierのStorm Water Drainsだけです。 まだまだLAのゴミは海にそのまんま流れて行ってます。 大変なことです。

では、次は生活排水路(Sewage Drain System)を読んでね。


参照:
Heal the Bay “Everyday is Coastal Cleanup Day”
LA Storm Drain System: http://www.lastormwater.org/WPD/general/lastrmdrn.htm


おまけ:
日本人に馴染み深いシュワちゃんの代表作 ターミネーター2であの息子が追いかけられるシーンはLAのStorm Drain排水路で撮影されました。

Storm Drain in Terminator 2:
http://www.youtube.com/watch?v=SHK6y_p1fOI

大げさに汚くしたわけでもないと思います、この撮影の時。 

シュワちゃんが州知事になるとわねぇ・・・






上に載っけた写真は映画の場所と違いますけど、ここもLAのStorm Drain排水路の一つ、Ballona Creekです。 Marina del Reyのヨットが海に出て行く水路の横の水路です。これらのゴミはPlaya del Reyに直進します。

衝撃!ゴミ移動中映像

直進した直後、波がビーチへ持ってきたゴミです。




2日後くらいには、また波がゴミを引き込んで海が飲み込んでしまいます・・・ ちなみに海にある60〜80%のゴミはプラスチックです。浮かんでるゴミだと90%がプラスチックだそうです。 さらに、海にある80%のゴミは内陸から来ます。 プラスチックはどんどん細かくなっていくだけで、生物分解されることはありません。 その小さくなったプラスチックたちは、プランクトンと間違えられて魚たちや海鳥たちが食べてしまいます。 レジ袋などはクラゲに見えるらしく、そのまま亀やイルカたちに飲み込んでしまいます・・・


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