ナチュログ管理画面 SPECIAL BLOG 海外 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報

2009年01月13日

雨水排水路(Storm Drain System)

ロサンジェルスの排水システムは2種類あります。 

一つはSewage Drain System。 これは、みなさんよくご存知と思いますが、バスルームやキッチンなど家や建物の中からでる「生活排水」システム。 この水は処理されてから海に排出されます。

もう一つはStorm Drain System。 これは、雨水とスプリンクラーやプールなど家や建物の外で使われている水用の「雨水排水」システム。生活排水と違って、こっちの水はほとんど処理されないまま海に排出されます。

という感じで、ロサンジェルスでは生活排水用下水と雨水排水用下水は別々です。なので別々にお勉強しましょう。

ここは、雨水排水用下水=Storm Drainsについてのお勉強コーナー♪にします。

ロサンジェルスの町のほとんどが、駐車場や道路やビルなどでカチカチの堅い表面に覆われています。雨がこれらのカチカチなとこに落ちると水は地下に染み込まず浸透していきません。地下に浸透していかない水をRUNOFF(表面流下)といいます。「水の循環」で学びましたね。 Runoffの水はあっという間にたまってしまって、町は洪水の危機にさらされてしまいます。洪水を防ぎ、町を守るために、STORM DRAINSという迷路のような排水路が地下に作られました。この排水路は遠くはBurbankやVan NuysやPasadena60マイル内陸から海までつながっていて、LA郡では全部あわせると5,000マイルもの地下排水路が迷路のごとく巡らされてます。LA市だけで1,500マイルもの長さのStorm Drain排水路が地下に巡り巡っています。このStorm Drainsの排水路を通って、水は道路から海に移動します。 

歩いているときや信号待ちの時に、歩道のヘリに穴が開いているのを見たことあると思います。これです。 その穴をCATCH BASINSと言って、そこがStorm Drain排水路の入り口なんです。LA郡に約250,000個あります。Storm Drainsの問題は、水だけじゃなく、水の通路にあるタバコの吸殻や、缶、モーターオイル、動物の糞なども全部Catch Basinsから排水路に入ってしまうという事です。 水もゴミも全部いっしょに海に流れ出されるか、OUTFALL(放流口)と呼ばれる土管からビーチに吐き出されてしまいます(Outfallを映像でどうぞ→ http://www.youtube.com/watch?v=pqut50O8vcM)。

雨だけがゴミを海へ押し出しているわけではありません。雨の降っていない日(Dry Weather)に、道で車を洗ったりとか、芝生に水を上げすぎたりとか、歩道に水撒きしたりする行為全てがDRY WEATHER RUNOFFを引き起こすことになります。

「なんで海に出る前にフィルターつけないの?」と思う人が沢山いると思います。フィルターをつけてしまうと、あまりのゴミでフィルターが詰まってしまって、結局洪水を起こしてしまうということで、フィルターはなしです。 実は海に出る直前に2フィート(60センチくらい)くらいの深さの網が浮きにぶら下がっています。が、たかが2フィートなので、雨水が勢いよく流れてきたら、そんな網なんてゴミは通り越してしまいます。 それと、下水から小川などに出て行くとににもありますが、網の目は20センチx20センチとかで、缶やボトルはぜんぜん引っ掛かりません。

雨水排水路(Storm Drain System)

東京やサンフランシスコなどでは、雨水やUrban Runoff/Dry Weather Runoffなども下水処理場に行きます。 いいアイデアなんですけど、雨がザーザーに降ったときは、その下水処理場もお手上げという事で、生活排水も雨水も全部処理せず海や川に放出してしまいます。 

ロサンジェルス市でも、乾季の間は何本かのStorm Drainの水がハイぺリオン下水処理場で処理されるそうですが、雨季の間は何の処理もされず海に吐き出されます。

そこで、サンタモニカでは、2000年にUrban Runoff/Dry Weather Runoffを処理する画期的な都市排水リサイクリング施設Santa Monica Urban Runoff Recycling Facility(SMURRF)ができました。 アメリカでは唯一サンタモニカにしかなく、LA市とサンタモニカ市のコラボで$150Millionかけてこの最高技術を使った施設が誕生。年間$12Millionの経費を使い、毎日最高50万ガロンのDry Weather Urban Runoff Waterを処理しています。処理されキレイになった水は、公園のスプリンクラーやトイレを流す水として再利用されてます。 でも、ここで処理されているのは、サンタモニカにあるKenter/PicoとサンタモニカPierのStorm Water Drainsだけです。 まだまだLAのゴミは海にそのまんま流れて行ってます。 大変なことです。

では、次は生活排水路(Sewage Drain System)を読んでね。


参照:
Heal the Bay “Everyday is Coastal Cleanup Day”
LA Storm Drain System: http://www.lastormwater.org/WPD/general/lastrmdrn.htm


おまけ:
日本人に馴染み深いシュワちゃんの代表作 ターミネーター2であの息子が追いかけられるシーンはLAのStorm Drain排水路で撮影されました。

Storm Drain in Terminator 2:
http://www.youtube.com/watch?v=SHK6y_p1fOI

大げさに汚くしたわけでもないと思います、この撮影の時。 

シュワちゃんが州知事になるとわねぇ・・・

Ballona Creek

Ballona Creek

Ballona Creek
上に載っけた写真は映画の場所と違いますけど、ここもLAのStorm Drain排水路の一つ、Ballona Creekです。 Marina del Reyのヨットが海に出て行く水路の横の水路です。これらのゴミはPlaya del Reyに直進します。

衝撃!ゴミ移動中映像

直進した直後、波がビーチへ持ってきたゴミです。
toesbeach

雨水排水路(Storm Drain System)

2日後くらいには、また波がゴミを引き込んで海が飲み込んでしまいます・・・ ちなみに海にある60〜80%のゴミはプラスチックです。浮かんでるゴミだと90%がプラスチックだそうです。 さらに、海にある80%のゴミは内陸から来ます。 プラスチックはどんどん細かくなっていくだけで、生物分解されることはありません。 その小さくなったプラスチックたちは、プランクトンと間違えられて魚たちや海鳥たちが食べてしまいます。 レジ袋などはクラゲに見えるらしく、そのまま亀やイルカたちに飲み込んでしまいます・・・





同じカテゴリー(資料室)の記事画像
津波の瓦礫についてのFAQ
同じカテゴリー(資料室)の記事
 津波の瓦礫についてのFAQ (2012-06-13 16:26)
 レジ袋に対してのよくある質問 (2009-12-17 04:01)
 レジ袋に対してのよくある質問 (2009-12-17 04:00)
 MPAs 海洋保護区 (2009-07-11 05:30)
 ビーチで見かける黒いタール (2009-01-13 08:24)
 LAのリサイクル情報 (2009-01-13 08:19)

この記事へのコメント


はじめまして!
スタッフの野村です。

カルフォルニアからのブログなんて、とても ビックリしました。

>「なんで海に出る前にフィルターつけないの?」と思う人が沢山いると思い>ます。フィルターをつけてしまうと、あまりのゴミでフィルターが詰まってしま>って、結局洪水を起こしてしまうということで、フィルターはなしです。

んー。そうなんですね。
私自身も京都の下水処理所にいきました。
そこは、ちゃんと下水処理をしていましたが生活排水すべてが
そこに来ているわけではないと思います。
特に田舎の方が、実は処理所がなかったりもしますし。。

しかし、写真はすごいですね。
これは、ひどいです。

シュワちゃん。ヒーローになってほしいなあ・・・。

サーフライダーファンデーションのリンク先があったのを見ました。
私も日本の代表をされている方と交流があって
参加したいなと思っています。

なんか、こう日本以外での情報が知れて
しかも、現場意見だから、勉強になります。

ここに直接書き入れて申し訳ないのですが
メールを送りたいと思っています。

お手数ですが、もしよろしければ
私のメールアドレスにご連絡をお願い致します。
Posted by 野村です。 at 2009年01月13日 11:31

野村さん、

メッセージありがとうございます。

LAにいる日本人の人たちに、もう少し自分の住んでいる地域のことを知ってもらって、さらにコミュニティーの中に入れるチャンスが出来たらいいなって思って、MixiでHeal the Bayのコミュを作りました。 「そろそろ、Mixi以外の人にも!」って思って、こちらに登場させて頂きました。

この写真は、乾季が終わって、初めて大雨が降った直後の様子です。 LAでは、乾季の間にゴミが雨水排水にたまって、それが一揆に雨で流されてきます。 そりゃもう恐ろしい風景です。 ビーチの写真も載せてますね。 「ここが夢のカリフォルニアのビーチなの?」って感じで、実はここに住んでる人でさえ知らない人が沢山います。 なぜかといえば、ビーチにゴミが到着しても、波がまた海に持っていってしまうので、2日後にはキレイになってしまってます。 そこがまた恐ろしいんですけど・・・ 

でも、LA市の新しい法律で、雨水排水から決まった量以上が発生したら市が罰金を払うということになりました。 そこで、Catch Basinに鉄の柵みたいのをつけいってるので、多少変わったと思います。 

シュワちゃんですが、実はHeal the Bayのサポーター(のはず)です。 お子さんがHeal the Bayのオフィスでインターンしてた時があったようで、1年くらい前に一度だけシュワちゃん家族がビーチクリーンに来てくれたことがあります。 シュワちゃんは15分くらいで帰ってしまいましたが、奥様のマリア・シュライバーさんとお子さんは残って最後までゴミ拾いしてましたよ。 なので、シュワちゃんには期待してるんですが・・・

サーフライダーとは、似たような活動なので、お互いに協力しあって、いっしょにイベントやったりしてます。 ちょっといまいちこのブログの使い方がよくわからないのですが、「野村です」というとこをクリックして、そちらからメールを送ればいいのかな? ってことで、メールしますね。

ありがとうございます :-)
Posted by Terumi at 2009年01月14日 04:39
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
雨水排水路(Storm Drain System)
    コメント(2)